米国の債務上限問題とは?2017年9月の対応についても

米国の債務上限問題とは

 

米国の債務上限問題(さいむじょうげんもんだい)とはアメリカ合衆国が負担することの出来る債務の合計額が法律で定められている限度額に到達してしまい、そのままにしていては新たなアメリカ国債を発行できず、これまでに積み重なった債務の返済が滞ってしまう状態におちいってしまうという困った状態をどう解決するかという問題です。債務は簡単に言えば借金のことです。アメリカはこれまで毎年予算を組んで連邦政府がお金を使ってきましたが、税金収入の範囲内で予算を組んでいたわけではありません。大抵は税収以上の額で予算を作っていました。予算の合計額から税金収入額を引いた残りの金額はアメリカ政府が国債を発行し個人や法人、あるいは別の国などに購入してもらってお金を調達しています。ただ国の借金をどんどん膨らませることは良くないという考えからアメリカの立法機関、連邦議会(れんぽうぎかい)は発行できる債権の総額に限度を設けることとしました。第一次世界大戦の時の戦時国債発行がこのような動きのきっかけとなったそうです。

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もし新たに国債が発行できないとなりますと政府機関が機能停止し過去に発行した国債をお金に換えることも困難になります。債権を買ってもらって借金をしたにもかかわらず借りたお金を返済しないことを債務不履行(さいむふりこう)、デフォルトと呼ぶそうです。アメリカの連邦議会が債務の合計限度額を引き上げるかどうかが非常に注目されたのは2011年でした。この時はアメリカ合衆国が抱える借金をどうやって減らしていくかを巡って当時与党だった民主党と野党だった共和党で考えが対立しました。そのため債務上限引き上げのための法律がなかなか連邦議会を通過しなかったのだそうです。当時上院も下院も与党の民主党がたくさん議席を持っていれば時間をかけずに法律を通過させることが出来たのでしょうが、当時下院は野党の共和党が過半数の議席を持っていたため混乱が起きました。2011年の1月には既に債務上限を引き上げないと大変なことになると言われていたようですが、債務上限引き上げのための法律がようやく通過したのは2011年の8月でした。債務上限に関する問題はその後も2013年や2015年に発生しましたが、この時には債務の上限をあてはめるのを一定期間停止するという方法で新たな国債を発行できるようにして切り抜けています。

 

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2017年の対応

 

2017年にも同様の問題が持ち上がりました。新たな法律を通さないとたまった債務の合計が上限に達してしまう状況となり、上限値を従来の法律通り当てはめてしまうと新たな国債発行が出来なくなってしまうことになってしまいます。9月に債務上限を引き上げる法律が連邦議会を通るかどうか関心を集めました。上院の共和党の議席は過半数を超えており、下院でも共和党は過半数を超えている状態ではあります。しかし規則によると上院では100議席中60人の議員の賛成が必要なのだそうで共和党議員の賛成だけでは足りず民主党議員の協力も必要な状態となってしまいました。ただ民主党議員は現在の大統領の実行しようとしている一部の政策(例えばメキシコとの国境に長距離の壁を建設するような政策)に反対しているため、債務上限引き上げの法律が通過するか一部で心配されていたようです。ハリケーンによる大きな被害が出たことも影響し国の混乱を回避しようという動きが強まって3か月間の債務上限引き上げという内容の法律案に共和党と民主党の多くの議員が賛成することで上院と下院を9月8日までに通過しました。9月末が債務上限のタイムリミットだったので間に合ったということになります。

 

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今回は米国の債務上限問題を取りあげてみました。アメリカの前の大統領の時から時々話題となっていたテーマでしたが解決した話だと思っていたらまた議論になるということの繰り返しのように見えて、なぜたびたび問題が持ち上がるのかよくわからなかったため調べてみることにしました。債務上限というのは国の借金を膨れ上がるままにさせてはならないというアメリカ議会の考えが反映した仕組みなんですね。でもどっちみち国の借金を大幅に短期間のうちに減らす神業があるわけでもないので、たびたび債務上限を引き上げるとか上限枠を一時的に当てはめないといった対応を実施してきました。アメリカがたくさんの国債を発行しなければならなくなったのは毎年の軍事費が膨れ上がっていることや税収がリーマンショックなどで一時的に相当落ち込んだことが関係しているという指摘があるようです。確かにクリントン政権時に比べアフガニスタン攻撃やイラク戦争以降の軍事費は確かに増加しています。1988年から2001年くらいは軍事費が大体横ばいなんですが2001年から2012年くらいまではどんどん伸びて2012年頃には2002年の倍以上の軍事費になっています。すごい増え方ですよね。このままアメリカの債務が膨れ上がってもアメリカ国債の買い手がいれば問題は無いのかもしれませんが、この点で心配はないのでしょうか。アメリカの経済が混乱するならきっと世界中が混乱することにつながるでしょうから、他国のことではありますがアメリカの債務上限問題や財政赤字問題が穏やかに解決して欲しいと記事を作っていて感じました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

アメリカの政治に関連した話「アメリカ大統領が反対するオバマケアとは?その問題点とは?」はこちらです。

アメリカの経済に関連した話「アメリカの政策金利の推移と利上げによる影響について」はこちらです。

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