ベーシックインカムとは?メリットやデメリットについても
ベーシックインカムとは
ベーシックインカムとは政策構想の一つで、日本語による圧倒的に普及した表現はまだ無いように感じますが、「基礎所得保障」、「最低生活保障」などと呼ばれることがあるそうです(私は聞いたことがありませんでした)。あとはベーシックインカムを略して「BI」と表記されることもあるようです。単純に日本語に訳すなら「基本的な収入」ということになるでしょうか。どんな政策かですが、経済的に貧しいか、潤っているかに関わらず、年老いた、若い関係なく、障害があるかないか関係なく、性別関係なく、仕事に就いているか無職か関係なく、全ての国民に対し生活を送るのに最低限必要な現金を一律で国が支給するというものです。原則通りのベーシックインカム政策を実施している国はこの世に存在しておりませんが、地域などを限定して試験しているような国は存在します。関心を持つ地方政府や様々な国の政党は多いようです。最近の日本国の中でも、この制度を前向きに検討することを主張する政党が出てくるようになりました。全国民に生活を送るのに最低限必要なお金を支給するにはそれなりの分配するためのお金が当然必要なため、その政策を実施するのに相当する税収が必要となります。どのような税金によってベーシックインカムに必要なお金を賄うかについては、遺産相続への課税で対応しようとか富裕層の所得にかける税金の税率を高くしようとか、国民の保有する預金資産に課税しようとか、消費税で対応しようなどといった様々な意見があるようです。他には税金のように国民に税負担を課すのではなく、政府がお金を発行し、そのお金を国民に分配するという案や、これは実行できる国は限られるかもしれませんけれど、国が保有する資源を売却することによって得られる利益を原資にあてようという意見もあるようです。ベーシックインカムという仕組みが考案されたのは18世紀の終わりころだそうです。上でも書きましたがこの政策を完全に実施している国はありませんし、過去にこのようなことを実施した国があるわけでもありません(国民に現物を分配するような配給制度はベーシックインカムではありません。ベーシックインカムは一律の現金支給です)。
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ベーシックインカムのメリット
この政策構想のメリット、利点の一つは多くの貧困事例を解決することにつながるのではないかという点です。生活するのに最低限必要なお金を全国民に支給するのですから稀に耳にするような生活困窮を理由とした餓死といった、いたましい話をはじめとする貧困による悲劇が大幅に減少することが期待されます。また生活を送るために非常識な労働環境で仕事をしなければいけないという状況を避けることが可能になります。そのため過労死のような、労働を理由とする心身の酷使も減少していくことが期待されます。また働き方の自由度が増すことにつながります。この制度はどの人に支給してどの人に支給しないといった限定する内容にはなっておらず全国民一律に支給するというものですから、仕組みが大変簡単です。そういう点で行政側の事務的な負担はそれほど大きくならないことが予想されます。貧困対策、労働環境の改善、仕組みが単純といったところがメリットのようです。
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ベーシックインカムのデメリット
この制度のデメリット、欠点には国が国民に分配する現金の総額規模が大変な巨額にのぼるという点が挙げられます。仮に日本国民に10万5000円を一律に支給したとしましたらどれくらいの額になるのでしょう。国民人口を1億2000万人としましたら、10万5000円×1億2000万人=12兆6000億円になります。物凄い額です。国の税収からこのお金を支給することにした場合、財政への負担は大変大きくなります。また実際にこの政策を実施した場合どうなるかは定かではありませんが、国民の労働意欲を減退させることにつながり、働く人が減ってしまって国内の労働力不足につながるのではないかという懸念も出ているようです。また企業は労働力確保のために賃金を上げる方向で対応しなければならなくなり企業の財務体質を弱くすることが心配されます。また国民に支給するお金の原資を法人税など企業の利益に課すことでまかなおうということになるとさらに企業に残る利益は減少し国際的な競争をするという点では不利になることも考えられます。他にはこの制度を導入するのと同時に他の社会保障制度を打ち切るという考え方もあるようですから、その場合は従来受けていた公共サービスを受けることの出来ない国民が出てきてしまうおそれがあります。必要なお金が巨額、労働力が減る心配がある、企業の負担が増えるかもしれない、これまでの福祉サービスが打ち切られてしまうかもしれない。このような点がデメリットのようです。
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今回はベーシックインカムについて取りあげてみました。先日行われた国政選挙で一部の政党がこの政策を主張していたようですが、名前を聞いたことがあるものの具体的な政策の内容を全く知らなかったので確認してみたく調べてみることにしました。BIという省略した表記を初めてみた時にはAI(人工知能)に関連する専門用語なのかな?と勘違いしてしまいました。漢字の略ですと想像がまだしやすいのですけれど。この政策の内容を調べてみて最初に思ったのは「思い切った政策だな」ということです。全国民を対象として、もれなく最低限の生活を送るのに必要なお金を支給するというのですから。実際におこなうのだとしたら相当な衝撃を社会に与えそうですね。過去にスイスでこの政策をやるかやらないかについて時の政権が意思確認のための投票をしたことがあるそうなのですけれど、反対意見の割合が約75%、賛成意見が約25%となり、意見が二分するようなことはありませんでした。貧困問題解決や労働環境の改善を促す利点というのは確かに大変魅力的ですけれど、それは生活保護制度の適正な運用や労働環境を改善させる法整備の徹底といった個別的な対応で改善を図るということでもいいのではないかなという気もします。恐いなと感じるのは小さな政府を志向する一部の政治勢力がこの制度の導入と他の社会福祉制度の打ち切りを並行しておこなおうと考えている点です。障害などを抱え大変な思いをされている人たちがこの制度の導入によってこれまでと比べかえってつらい境遇になってしまうような結果になるのであれば、少しも検討する価値の無い仕組みのように感じます。この仕組み、将来現実味を帯びてくるものなんでしょうか。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
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