ベネズエラでインフレが進行した理由は何なのでしょう

ベネズエラでインフレが進行した理由

 

南米大陸の北部にある国、ベネズエラ・ボリバル共和国では経済が混乱した状態にあり、国民の方々の生活はとても大変になっています。まじめに働いてお給料をもらっても、そのお給料で購入できる物資の量はごくわずかです。物の値段がとても上昇してしまっているのでそのようなことになってしまいました。インフレーション、略称インフレという経済現象です。今のベネズエラの政権もアメリカとの関係が悪いのですが、前のベネズエラの政権、チャベスという人が大統領だった時代もアメリカとの関係が悪いことは有名でした。チャベスさんの時代には政権は国民の多くの人々から強く支持されていたような印象がありましたし、ベネズエラ国内の経済状態がとても混乱しているなどという話もあまり聞かなかったような気がします。チャベスさんが亡くなって現在の大統領が国を率いるようになって以降、ベネズエラ国内のインフレがひどくなっているようですが、なぜそんなことになっているのでしょう。理由はひどい物不足と国内に出回るベネズエラ紙幣の量が多すぎることなのだそうです。

 

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深刻な物不足

 

理由の一つ、物、物資の不足についてですが、チャベスさんの時代からベネズエラでは多くの国民が物資を購入しやすくするために生産業者や流通業者に物資の価格を上げさせないよう政府が価格決定するような政策をとっていたようです。普通は買いたい側と売りたい側の交渉で値段を決める、市場にまかせて価格を決めさせる仕組みをとるものですが、ベネズエラではそうではありませんでした。政府が一方的に物の値段を決めてしまうものですからベネズエラ国内で物資を生産し政府の言い値通りに販売しても生産者側はちゃんと利益を出すことが出来ず、企業活動が衰退し物資の国内生産量が低下していきました。しかしベネズエラ国民が暮らしていくために様々な物資が当然必要になります。国内で生産している物資だけでは全く足りないため、政府は他国から必要な物資を輸入するという方法で必要な物資を国民に供給していました。しかし現在の大統領の時代になってからベネズエラは必要な量の物資を他国から輸入するのが難しくなっていきます。他国との取引の為に必要なドルなどの信用の高い外貨、他国のお金をベネズエラ国内に蓄えておくことが出来なくなっていったせいです。ベネズエラは国内で石油が産出されることで有名な国です。自国で産出された石油を他国に買ってもらい、売却した石油の代金として外貨、他国のお金を受け取り、その外貨を蓄え、他国から必要な物資を輸入する時にはその輸入品の支払いのためにその蓄えていた外貨を使っていました。ベネズエラにとって自国の石油は大変貴重な外貨獲得の手段でした。しかしその後世界的に石油の価格が下落してしまう時代に入りました。以前のようにベネズエラ産の石油を他国に買ってもらってもあまり儲けられなくなってきたのです。以前のような金額の外貨をベネズエラが蓄えておくことは出来なくなり、必要な物資を輸入することも難しくなっていきました。ベネズエラへの輸入量が減ってしまったことでベネズエラ国内の物不足がさらに深刻となってしまいます。政府は石油の儲けが少ない以上、他の方法で外国の通貨を手に入れてその外貨で国民にとって必要な物資を輸入し国内の物不足を解消したいところです。ベネズエラ政府が債券を発行しその債権を他国の政府や企業など、とにかく他国に外貨で購入してもらう、つまり他国に借金するという方法で外貨を得るというやりかたが無いわけではないようです。しかし現在のベネズエラ政府と仲の悪いアメリカはベネズエラに対し経済制裁をしています。ベネズエラの国債やベネズエラで石油を産出する国営会社の社債をアメリカ国民は買ってはいけませんよという規則をアメリカ政府が作ってしまいました。これによってベネズエラは更に外貨を手に入れにくくなっています。国内での物資の生産が乏しく輸入したくても複数の理由で外貨が手に入れられず、なかなか必要な量の物資を輸入できない。こういった事情で国内の物不足が解決されていないままとなっています。

 

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紙幣の発行

 

次にもう一つの理由についてですが、ベネズエラ国内では政府が多額の予算を実行に移すために税収だけでは間に合わないので債券を発行し国内の金融機関などにベネズエラの通貨で購入してもらってお金を手に入れてまかなっています。ベネズエラの中央銀行は政府の発行した債券を担保にしていれば国内の金融機関にお金(ベネズエラの通貨)を貸すという方針をとっており、中央銀行は紙幣(ベネズエラの通貨)をいっぱい発行してその紙幣を国内の金融機関にたくさん融資、貸しています。このような流れでベネズエラ国内に出回る紙幣の量はかなりの量になったそうです。こうして政府がたくさんの債権を発行し、その結果世の中に出回るベネズエラの紙幣の量が多くなっていることもベネズエラの通貨の価値を下げてしまっている、インフレになっている理由の一つだといった指摘もあります。

 

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今回はベネズエラ国内の経済的な混乱について一部取りあげてみました。ベネズエラでインフレがすごく進行しているという話を耳にして、どうしてそんなことになってしまったのか気になりこのような記事を作っています。2017年の物価上昇率が2600%くらい、物の値段が一年間で27倍くらいに上昇してしまったということですから国民の方々もたまったものではありません。低所得者層に配慮した政治をおこなおうとチャベスさんの時代から政府は政策をとってきたのですが、このような経済の混乱で一番被害に遭っているのは経済的に弱い立場の人たちなのでしょうね。皮肉なものです。物の値段を国が勝手に決めてしまうと一時的には国民の暮らしが安定するのかもしれませんが、場合によっては国内の生産業者が儲けられなくなって、生産しなくなり、結果的に国内での生産量が少なくなってしまうということに繋がってしまうものなのですね。こういった因果関係はジンバブエのインフレの時にもあった話だった気がします。政府が物価を決定すること、物価の統制というのは、物資の国内生産量を維持するための手立てを同時におこなわないと、とんでもない災厄を招きそうですね。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

別の国で起きたひどいインフレーションの話「ジンバブエではなぜインフレが進行してしまったのでしょう」はこちらです。

我が国でかつて発生したインフレーションの話「戦後の日本でインフレが発生した理由は何なのでしょう」はこちらです。

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