東海道新幹線が建設された理由は何だったのでしょう
東海道新幹線の建設理由
西暦1964年(昭和39年)の10月1日に東海道新幹線が開通しました。東京オリンピックが始まる前に開通を実現させることに成功しています。日本で最初に出来た新幹線がこの東海道新幹線ですが、建設するかどうかについては費用が相当な額だったため反発も結構あったのだそうです。反発もあったのにわざわざ高いお金をかけてまで東海道新幹線を建設した理由は何だったのでしょう。それは従来の鉄道の環境ではもう貨物や乗客の運搬・輸送に対応しきれないと国鉄、日本国有鉄道が判断したからです。
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日本国有鉄道というのは現在「JR~」といった複数の民間企業となっている組織の前身で日本政府が出資していた鉄道運営組織でした。1987年に複数の民間会社に分割されています。国鉄は新幹線が出来る以前、東海道本線という鉄道路線で乗客や貨物を輸送・運搬していました。もちろん今も活躍している路線です。戦前と終戦後はそれで対応していましたが、戦後しばらくして高度経済成長により日本国内の社会環境が大きく変化しました。日本の高度経済成長期は大体1954年の末頃以降から始まったのだそうです。年平均の経済成長率が10%を超えるような、現在の日本の経済成長率を考えると耳を疑うような経済成長を当時の日本は実現していました。経済がそのように発展することによって人や物資の移動がこれまでに比べてどんどん増えるようになったのです。特に大都市である東京などの首都圏、名古屋を中心とする中京地域、関西の中心地域大阪の間を移動する人の数、物資の量はそのような傾向を強めました。国鉄も東海道本線の便数を増やしたり連結車両数を増やすなどの方法で需要に応じていたようですが、近い将来そういう方法では対応しきれなくなるだろうと予想していたのだそうです。国鉄内に1957年に設けられた「幹線調査会」という調査部門は在来の東海道線の輸送能力では1961年~1962年頃には需要に対応できなくなると見ていたそうです。交通機関がうまく機能しないと経済の発展を停滞させてしまうことにもつながりますので在来線とは異なる新幹線計画が提案され実行に移されることになりました。実際の東海道新幹線開通時期(1964年)を考えますと東海道線が輸送に対応できなくなると見られた時期(1961年~1962年)よりも遅れてしまっています。新幹線開通までの三年間くらいは国鉄も輸送の需要に追われて大変だったことでしょう。
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今回は日本で初めての新幹線、東海道新幹線の建設について一部取りあげました。教科書では高度経済成長の時代に交通網の整備が進んだという説明の中で一言、東海道新幹線が開通した、と触れられている程度ですが、当時の日本では相当な大事業だったようです。日本で経済がとても発展していた頃の象徴のような出来事でもありますし、お金がとてもかかる中このような設備を何故整えたのかよくわからなかったので調べてみようと思いました。東海道新幹線の建設にかかった費用は当時のお金で3800億円くらいなのだそうです。当時の日本の国家予算は1957年で12兆円弱、1963年で30兆円規模でした。現在の日本の国家予算は90~100兆円規模です。当時の国家予算を見ると新幹線建設費用がかなり巨額だということがわかります。
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最初に建設費用として政府に求めた額は1700億円くらいという実際にかかった費用の半分以下だったそうですが、それについては最初からあまりに巨額のお金を政府に求めると建設計画を認めてくれないだろうという予算を申請する側の配慮があったそうです。新幹線建設のための土地の確保については、戦前の鉄道計画で既に買収していた土地が役に立ったそうです。戦前に「弾丸列車計画 だんがんれっしゃけいかく」というものがあったそうで、戦前の政府は東京から山口県の下関までの間に従来の鉄道とは異なる新しい路線を建設し高速鉄道で乗客や貨物を輸送・運搬しようとしていました。朝鮮半島やいわゆる満州地域と日本本土との間の人や貨物の移動が増加していたため、それに対応することを目的に建てられていた計画です。戦前に似たような構想が存在していたんですね。建設に計画に反対する動きもあった東海道新幹線ですが、結局のところ開通したことは大成功だったようで、新たな新幹線、山陽新幹線の建設に繋がることとなりました。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
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