「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の出典や意味について
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の読み方
故事成語「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」は「えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや」と読みます。
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の意味
「ツバメやスズメにどうしてヒシクイや白鳥のような大きな鳥の考えがわかるだろうか。いやわからない。」というのが直訳になるかと思いますが、スズメやツバメをつまらない人物にヒシクイや白鳥をすごい人、大成する人に例えて「つまらない人物にはすごい人物の志など理解出来るものではない」という意味になったそうです。
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「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の出典
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」は中国の古典「史記(しき)」の「世家(せいか)」という有名な貴族の家系に関する内容が書かれている記録の中で出てくる話から誕生した故事成語です。
史記は前漢時代の中国で司馬遷(しばせん)という人が様々な文献を集め、記述を加えまとめあげた歴史書です。司馬遷という人は中国に存在した昔の国「漢(前漢)」の役人だった有名な歴史家です。
また中国に宋(南宋)という国があった頃に作られた十八史略(じゅうはっしりゃく)という歴史の本にもその話は掲載されています。
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故事成語となった由来の話
以下は私なりに現在の表現にし直した内容です。忠実な訳ではない所もあるかと思いますがご了承ください。
大昔の中国に秦という国が存在していた時のことです。今の河南省の地域に陽城(ようじょう)という町がありました。その町に陳勝という人が住んでいました。陳勝さんは成人してから渉(しょう)という名も持っていました。
渉さんは若かった時、人に使われて畑を耕していました。耕作を休憩し畑の「うね(畑の中にある盛り上がった所)」の上に行ってしばらく嘆いて言いました。「もし自分が資産をたくさん保有し、身分の高い人物になったとしてもあなたたちのことを忘れはしません。」
雇われていた他の人が「お前は人に雇われて畑を耕しているじゃないか。どうしてお金持ちで身分の高い人間になれるっていうんだい?なれるわけないだろう。」と言いました。
渉さんはため息をついて言いました。「ああ、ツバメやスズメがどうしてヒシクイや白鳥のような大きな鳥の考えがわかるだろう。わかるわけがないよ。」
後に渉さんは呉広という人物と共に蘄(き)という地域で挙兵しました。そして貧しい人達も徴兵し漁陽(ぎょよう)という地域を守衛させました。渉さんと呉広さんは屯長という役職を国から与えられました。
以上のような話が十八史略の中に書かれています。畑を耕す立場だった渉さんは兵員を率いる立場となりました。
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実績を持っていない人が大きな夢を持ち努力することは何も悪いことではありませんが、「お前に出来るわけがないだろう。」と周囲から言われることはあるかもしれませんね。特に頑張ろうとしている当人を好意的に見ていないような人から。
この故事成語は自分の夢を否定する人に投げかけるとトラブルになってしまうでしょうから、自分の心の中で思い出して奮起するという使い方をするといいのかもしれません。
現実の生活を壊してしまう妙な夢を持つのは問題かもしれませんが、まっとうな夢を持つのはいいことなのではないでしょうか。夢をあきらめてしまったらそこまでですから。周囲の心無い発言にくじけないためにも、こういう故事成語を知っておくことは損にはならないのではないかぁと感じました。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
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