家制度存続の契機となった民法典論争とは?

民法典論争とは

 

民法典論争(みんぽうてんろんそう)とは、西暦1890年(明治23年)に公布された民法を巡って、公布された民法の施行を延期するか延期せず予定通り施行するかが論じられた出来事のことです。施行というのは実際に法律が運用されるようになることを言います。公布というのはこういう法律が出来ましたと知らしめることです。

民法とは法律の一種で、個人と他者の関係について定めた私的生活に関わるものです。財産の関係や身分の関係なども含まれてきます。

明治維新後政府は様々な法律の整備を進めていきました。民法もその一環で外国の法律の専門家から協力を得て起草し公布にたどり着きました。

しかし1890年に公布された民法の内容について一部の法律専門家から批判が出ました。昔からの日本の家族制度、日本の慣習に合わないというのが批判の理由でした。

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この論争は法律の学界だけではなく議会でも施行延期派と施行を予定通り行うべきと考える派との間で議論がされたそうです。西暦1892年に貴族院で民法の施行を延期する法案が出されて貴族院でも、もう一つの議院、衆議院でも施行延期法案が賛成多数となり、一度公布された民法は施行が延期されました。その後民法の内容がかなり修正され公布されています。1898年(明治31年)7月まで施行が長引く結果となりました。最初の公布から8年後になります。

 

家制度について

 

大幅に修正された民法では家父長制的な家制度が存続することとなったそうです。夫、一家の主(あるじ)の権利(戸主権 こしゅけん と言うそうです)が大変強い内容となっています。江戸時代の家族制度を大きく変えないように配慮したということのようですが、ドイツも夫の権利が強い民法だったらしく参考にしたそうです。1890年に公布され施行が延期となった民法は外国の専門家も参加して作られたものですが、その外国の方はボアソナードというフランス出身の人でした。フランス流の民法は当時の日本社会の状況と比べると「急進的」と映る内容だったそうです。

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その「急進的」な内容に反対した有名な学者さんは穂積八束(ほづみやつか)さんという方です。このような民法を導入したら忠義や孝行といった日本のこれまで受け継がれてきた評価すべき伝統が消え失せてしまうと論文の中で自分の考えを主張しました。

一家の主の権利というのは具体的にどのような権限かというと、世帯の家族は戸主(一家の主)の同意が無ければ住む場所を変えることが出来なかったそうですし、家族の結婚や養子縁組は戸主の同意が無ければ法律上認められなかったそうですし、戸主の奥さんの財産は戸主が管理するということになっていたそうです。世帯主と跡継ぎの方の権限が強くて奥さんの権限が弱い仕組みとなっていました。

 

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今回は民法典論争について取りあげてみました。日本史を高校時代やったはずなのですが、この項目は全く覚えていませんでした(汗)。施行延期になった民法の内容は個人の意思を相当尊重した内容だったということなんでしょうかね。1890年に公布した民法を施行すべきだと主張した学者さんももちろんおられて、その中で有名なのは梅 謙次郎さんという方だったそうです。

現在の社会ですと一定年齢になれば住む場所は個人の考えで決めることが出来ますし、結婚に関しても個人の意思が尊重される仕組みでしょうし、夫が奥さんの財産を管理する決まりにはなってないですよね。現在の仕組みを穂積八束さんが見たらきっと反対するのでしょう。でもそれによって忠義や孝行といった慣習が消え失せたのでしょうか。客観的に比較できるような人はいないのかもしれませんけれど。

1898年に施行された民法ですと戸主の考えによってその世帯の家族の人たちの人生は相当な割合で決められてしまいそうですね。戸主の方が公正な方でしたら問題など生じないのでしょうが、一般的に見て偏った考え方をする人であったとしたら家族の人たちにとっては相当厳しい生き方を強いられそうですね。

民法は普段過ごしていて意識することなど私に関して言えばほとんど無いような気がしますが、実は各個人にとって非常に基本的なことを決めている重要な法律であることを今回知ることとなりました。でも今回の記事を作っていて、民法の定義を調べてみましたがわかりにくくて仕方がなかったです・・・。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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