政府が郵便局を民営化した理由というのは何だったのでしょう
郵便局を民営化した理由
元々は国の役所であった郵便局ですが、2000年代に入ってから民営化しようという動きが出てくるようになりました。民営化、つまりこの場合は国が郵便局を管理する、経営状態に責任を持つという関係を解消し、郵便局を民間企業にして業務をおこなう仕組みに変更するということですね。民営化の動きに反対する人々もたくさんおられましたが、民営化するかどうかが大きな争点となった国政選挙では、民営化を強く推進する小泉純一郎という人が首相を担当する小泉内閣、その内閣を支える与党側の大勝利となりました。その選挙を経て民営化の話は一気に進むこととなり、民営化を実施するための法律も西暦2005年(平成17年)に国会で成立し、2007年10月1日に郵便局は民営化するに至りました。このように一時期から熱心に推進されることになった郵便局の民営化政策ですが、国のお役所であった郵便局を政府がわざわざ民営化しようと考えた理由は何だったのでしょう。その理由として郵便局に集まるお金の使い方を変えたかったということや、国の税収を増やしたかったということ、郵便局の提供するサービスを向上させたかったこと、国の財政的な負担を大きくしたくなかったことなどが挙げられるかと思います。米国が日本の郵政事業を民営化するよう日本政府に以前から要望していたという経緯はあるようなのですが、日本政府が民営化に踏み切ったことにどれだけ影響を与えたのかについては正直判断しづらい面がありました。米国が要望したことが民営化した理由になった、と言いきることも出来ませんのでこの記事ではこれ以上敢えて触れてはおりません。その点はご了承ください。
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郵便局に集まるお金の使い方を変えたかった
郵便局では以前から郵便貯金という銀行業務や簡易保険と呼ばれる保険業務がおこなわれていました。たくさんの国民がそのサービスを利用していたため郵便局はたくさんの金を国民から任されていたわけです。350兆円ものお金を任されていた時期もあったそうです。大変な額ですが、このようなお金を従来は日本政府が発行する国債や公共的な事業をおこなうために公的な機関によって発行される債権の購入に充てて金利収入を確保し運用していました。しかし民営化した場合、郵便局が国民から任されている莫大なお金を個人や一般の民間企業にも融資、貸し出すようになることが期待でき、日本経済を活性化することが出来るようになると民営化推進側は訴えていたようです。
税収を増やしたかった
また、郵便局が民間企業になれば他の一般企業同様、儲けることの出来たお金の一部を税金として国に納めることになります。郵便局が国の機関であった時代は儲けが出ていても税金として国に納める必要はありませんでした。全国的な組織の郵便局が税金を払う場合、その額はかなりのものとなり、国の借金が大きくなる中、日本の財政状態を改善させるのに役に立ちますと言われていたようです。民営化が国内で大きな議論となっていた頃、一部の政党では民営化によって毎年5000億円くらいの税収が期待できるといった主張もされていたようです。5000億円。凄い額ですね。
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サービスの向上
郵便局がお役所の一つである状態から民間企業に変化することで、他の民間企業とのサービス競争をする必要が出てくるので、従来よりも国民にとって便利なサービスを提供してくれるようになることが期待できると言われていました。
国の財政的な負担を増やしたくなかった
郵便局を民営化するかどうか議論していた時期、郵便局の事業はきちんと利益を出しており、現場で働かれている職員の方々のお給料も郵便局事業の利益から出していました。税金から支払われていたわけではありません。赤字の事業ではありませんでした。しかし将来は郵便サービスの利用の減少が懸念されていたらしく、このまま郵便事業を継続していたら赤字となる時代が到来することが憂慮されていたそうです。もし郵便局が民営化されなければ赤字化した場合は国が赤字となったお金を肩代わりしなければならなくなります。また国民から貯金や保険で任されているお金を国債の購入にあてていましたが、国債の価格が購入時よりも安くなるような経済状態となった時、郵便局はお金の運用に失敗することになりますから、民営化していない場合、国が損失した額を補償しなければならなくなります。国の財政状態をより悪くしてしまう心配があるので民営化したほうが安心でしょうという、そういった主張もあったようです。
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今回は2000年代半ば特に大きな議論となっていた郵政民営化について一部取りあげました。郵政選挙と言われた国政選挙がおこなわれていた頃この話題が頻繁に報道機関で取りあげられていたことをなんとなく憶えてはいます。しかし民営化が必要な理由について、正直よく覚えていませんでした。一方民営化に反対する政治家の方々が民営化について「愚の骨頂」などと言って批判していたことは割と印象に残っています。今回2000年代半ばに象徴的な出来事がなかったか見ていたところ、郵政民営化の議論について目にし、個人的によくわかっていなかった民営化の推進された理由について確認してみたくこのような記事を作ってみました。2007年に民営化されて10年以上経過しました。私もいろいろ用事があって郵便局を利用しますけれど民営化以前と比べて何か変わったと感じるところがあるか改めて考えてみましたがよくわかりません。ATMの利用が以前に比べて便利になったかな、くらいの感覚でしょうか。民営化後、郵政関連事業からの税収がすごい額になっているという話はあまり耳にしないような気がしますが、報道されているものなのでしょうかね。民営化前には推進側が色々な明るい将来を提示していたようですけれど、それが実際に本当のことだったのかどうかについてはいずれ明らかになってくることでしょう。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
民営化された他の分野について触れている話「国鉄の民営化はいつおこなわれたのでしょう」はこちらです。
米国の要望に日本政府が応じて日本の世の中が影響を受けた話「プラザ合意によって日本はどのような影響を受けたのでしょう」はこちらです。
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