江戸時代、幕府は参勤交代をなぜ大名にさせたのでしょう

なぜ江戸時代に参勤交代していたのでしょう

 

江戸時代の制度として参勤交代(さんきんこうたい)は社会、歴史の授業でよく取り上げられる有名なものの一つだと言っていいかと思います。江戸時代に存在していた藩の領主、お殿様は生活する場所を領地と江戸で大抵一年ずつ行ったり来たりしていました。お殿様の奥様とお子さんはお殿様と行動を共にするわけではなく、ずっと江戸で暮らすことになります。丸一年間お殿様が領地で生活する間、奥さんとお子さんに会うことがないわけですね。どの藩主も領地で生活する時期と江戸で生活する時期が同じだったわけではありません。幕府側が指示を出し、該当する年に江戸住まいになる領主と領地で生活する領主を決めていました。参勤交代のごく簡単な内容を説明するとこのような感じになると思いますが、なぜこのような制度を江戸幕府はおこなっていたのでしょう。様々な意見があるようですが一番多いのは様々な藩に経済的な負担を背負わせることで幕府に抵抗する力を蓄えさせないようにしたかったからという指摘です。その他には幕府の命令、江戸幕府将軍に藩主が従う考えがあるか、幕府に対する反意が無いかを見極めるためといったものや、江戸での仕事を担当させるためといった見方もあるようです。

 

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経済力を奪うため

 

よく言われることですが、ある藩のお殿様が領地から江戸に移動し江戸で一年間住んでまた領地に移動するというのは文字で書けば36字で済みますけれど、大変大きな負担でした。お殿様が数人の付き人と移動するなんていうことにはなり得ず、護衛の為にも必要な物を運ぶ為にも多くの関係者を付き従わせなければなりません。藩の規模によって付き従う人の数も当然様々でしょうが、藩によっては領地から江戸に行くまでに今のお金で億単位のお金が飛んでしまうとか、江戸に向かうお殿さま御一行が一泊すると今のお金で1千万円単位のお金が必要だったとかいう藩もあったのだそうです。移動でそれだけの大金がかかりますし、江戸に自分の生活する家を持っていなければなりませんでした。藩邸などと現在呼ばれています。上中下と屋敷が当然別れることになりますが、藩主や藩に仕える人々の生活する場です。このような藩邸の維持には大変お金がかかったそうです。江戸と領地の往復と藩邸の維持によって台所事情が相当苦しくなっていた藩もありました。藩の経済力が弱まると戦をするお金も捻出しにくくなりますから、幕府に刃向おうという藩も出にくくなります。江戸幕府による全国統治がより安定することにつながります。

 

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幕府に従うか確認するため

 

このような「参勤交代は経済力を奪うのが目的だった」という見方について否定的な意見もあり、参勤交代を諸大名に課したのは江戸で幕府のための仕事を担当させるためだったという見方もあります。その仕事というのは江戸幕府の防備、江戸幕府を軍事的な脅威から守るための軍事力の提供、幕府の施設の改修、江戸一帯に関わる工事などだったといわれています。徳川家光さんが将軍の時に幕府から諸大名に対し、参勤交代に付き従う人数を減らすよう指示するということもあったらしくそれが「参勤交代は諸藩の経済力を弱めるため」という見方を否定する根拠として取りあげられることもあるようです。

 

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今回は江戸時代の参勤交代について一部取りあげました。参勤交代の目的について一定の関心があるようですし、昔授業で習った気がする「大名の力を弱めるため」ということで間違っていないか確認したかったこともあり、このようなテーマの記事を作ってみました。やはり現在の歴史の教育現場でも諸大名の経済力を奪う云々の話は歴史の授業でされているようですね。その一方で幕府の中心地である江戸の護衛をするというのが目的だという見方があることを初めて知りました。経済力を削ぐというのは実際莫大なお金を諸大名は負担していたわけですから合理的な理由付けのような気もしますけれど、あまり従者を増やしてお金をかけないようにとわざわざ幕府が大名に指示するという話もあるのなら矛盾しているような気もします。相当昔の制度であったとしてもそれに関する評価というのは必ずしも一つに定まっているとは限らないものなのですね。今回の記事を作っていてそれを強く感じました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

参勤交代の仕組みがいくらか変更されたことに触れている話「島津久光の行動が契機となった『文久の改革』の内容とは」はこちらです。

幕府や藩の税収に関連してくる話「江戸時代に課されていた年貢の割合はどれ位だったのでしょう」はこちらです。

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