律令と格式にはどういった違いがあるのでしょう
律令と格式、その違い
平安時代以前の歴史に関心を持たれてこのページに来られた皆さんこんにちは!この記事では私なりに律令と格式の違いについて書いていこうと思います。まず読み方ですが律令は「りつりょう」、格式は「きゃくしき」と読むものなのだそうです。ここで言っている格式(きゃくしき)は日常会話で出てくるような「格式(かくしき)のある~」といった身分とか家柄などを意味する言葉ではありません。律令も格式も過去に日本の朝廷が作った法令に関連する用語です。法令に関係した用語として共通点があるものの律令と格式にはどういった違いがあるのでしょう。それぞれの言葉の意味を明らかにすることで違いもはっきりとしてきますが、律令という体系立てて作られた法令をまず基本としていて、格式というのは基本の法令(律令のこと)が作られた後にいろいろ手を加えたものという位置付けですので、木に例えると律令が中心の幹にあたる部分で格式は、特に「式」は末梢の枝葉の部分にあたると言えるかと思います。
スポンサーリンク
それぞれの用語の意味(律令)
以前律令に関しては大宝律令に関連した記事でも扱っていますが、律令の「律 りつ」というのは現代の刑法にあたるような法令の集まりで、どういった行為を犯罪と見なすといったことや、こういった犯罪をした場合こういった罰を科すことにするといった規則が定められています。犯罪者に科す罰の内容として有名な「笞・杖・徒・流・死 ち・じょう・ず・る・し」といった内容に関しても律の中で定められています。ちなみに笞は細い棒で叩かれることを意味していており・杖は笞よりも太い棒で叩かれることを意味しています。徒は牢獄に入れられ何らかの作業を科されることを意味しています。懲役刑ですね。流は島流し、流刑を意味しており、死は死刑のことを意味しています。律令の「令」は行政の仕組みなどを定めている規則の集まりです。中央政府にはどういった組織を置くとか地方はどのように区分するとかこの組織を取りまとめる役職として~を置くとかそういった仕組みや手続きなど、実際の政治をおこなうために必要な決まりごとが集められたものです。この律令が政権の法令の中心としてまず定められています。
スポンサーリンク
それぞれの用語の意味(格式)
もう一方と言いますか、格と式は別のものではありますが格式はどういうものかと言いますと、法令として律令に定められていないものの、実際に政治をおこなっていてこういった規則を設けたほうがいいということになった場合に新たに君主、日本で言えば天皇の名で出された指示によって作られた法令のことを「格 きゃく」と言います。そのため格は律令と同様に法令ということになりますが、律令がしっかり定められたあとに政治をおこなう上で便宜上作られた、あくまでも後付けの法令です。「式 しき」は法令である律、令、格を実際の政治の現場でお役人の人々がどのように運用するか、あてはめていくかにあたり、困ることのないよう事細かく定めたやりかたのようなもの、マニュアルのようなもののことを言います。そのため律令と格式にわけると誤解が生まれやすいかもしれません。式は律にも令にも格にも加えられることになり得るものです。格とだけ関係するものではありません。律令が、例えば日本の場合まず大宝律令が作られましたが、そのあと政治をおこなっているといろいろと修正したほうがいいようなこともやはり出てくることになります。実際の政治に合わせて法令も変更させていく必要が出てきますから格のようなものが必要となりますし、お役人さんたちが仕事を更に円滑にしやすくするためにも式のようなものが必要となってきます。
スポンサーリンク
今回は律令と格式の違いについて一部取りあげました。教科書で平安時代の箇所を読んでいて格式という言葉が説明されているのを目にし、今一つイメージ、印象がはっきりわかないなぁという気がしたので意味を確認してみたくなったのと、律令と格式の違いについて関心を持たれている方もおられるようなのでこのようなテーマの記事にしてみました。用語の説明が中心となる内容だったのでつまらないなと思われたかたがいらっしゃいましたら申し訳ありません(汗)。ただ律令と格式がどういったものなのかということを知ることで実際に世の中を動かしていくのに必要な法律がどうやって整えられていくものなのかその一端を見ることが出来たように思います。最初から完璧な形の法体系など作ることが出来るわけもなく、後から現実に応じて骨組みとなる基本の法律の内容に少しずつ付け加えたり、内容を変えていくものなのだということなのでしょう。現実の世の中に対応するには法律面でもそのような柔軟性がなければいろいろと不便なことになるというのは何となく想像できるような気もします。今の世の中でも、例えば日本の憲法にもちゃんと内容を改める場合の手続きが定められています。いつまでも同じ条文で日本の世の中がうまくまわるなどという保証はどこにもありませんから当然と言えば当然の話です。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
この記事でも出てくる大宝律令について触れている話「大宝律令たいほうりつりょうとは簡単に言うと何なのでしょう」はこちらです。
聖徳太子が関与した十七条の憲法について触れている話「聖徳太子による成文法と言われる十七条の憲法の制定目的は」はこちらです。
最近のコメント