貿易における保護主義とは?メリットやデメリットについて
貿易の話で出てくる保護主義とは
貿易分野で使われる「保護主義(ほごしゅぎ)」という言葉は、貿易するにあたって貿易内容について制限を設定する必要があるという考え方を意味しています。ここで出てきた「制限」というのは、国が「関税」を輸入品に課して国内で流通する輸入品の値段を引き上げ、国内の消費者が輸入品を買う量を減らすようにすることが典型的な例かと思います。輸入品に関税をかけない場合に比べ関税をかけると流通する時の値段が上昇します。値段が高いと消費者は買いたがりませんね。輸入品に比べ値段が高い国内生産品も安い輸入品に関税がかけられると輸入品の値段が上がり国内生産品との値段の差が縮まって、値段の高い国産品だとしても競争しやすくなります。
また関税を設ける以外の方法で輸入量を制限する方法もあるそうです。国が品物を輸入するにあたって国内の法律でルールを作り輸入する量を「年間何トンまで」のように制限するような手法です。
年間輸入量を決めるというルールの他にも国内で設定した基準を満たさない商品は輸入しないよというルールを作り商品を輸入しないようにするという方法もあるようです。
他には輸出する品物に対し補助金という名目で資金を提供し輸出商品の実質的な値段を下げ輸出先の国で他国産の商品と有利に競争できるようにする方法もあるのだそうです。また、為替介入することで自国通貨を安くし他国の輸入品の値段を上げるという方法もあるそうです。いろいろありますね。
関税という手段を用いずに貿易量(輸出入量)を制限する方法に関しては非関税障壁(ひかんぜいしょうへき)と呼ばれることがあるようです。
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保護主義のメリット
保護主義という考えを現実に実行した場合、どのような良いことがあるのでしょうか。安い他国製の商品が輸入されてこない場合、消費者は値段の高い他国製の商品か、国内産の商品を購入することになります。国内産の商品を消費者に買ってもらう機会が増加しますので国内企業の利益が増える、あるいは安定することになります。国内の産業が維持されることにつながります。
このように貿易に制限を設けることで国内企業の利益が確保されることになります。国内企業ではその国の人たちが雇用され、働き、商品が製造されています。国内の人たちの仕事をする機会、国内の人たちが雇用される機会も国内企業の利益が確保されることによって増える、あるいは安定することになります。
また国を維持する、守るのに必要不可欠な産業分野を守ることが出来ます。例えば食料は日本国民が生きていくのに必要不可欠ですが、その食料の大半を輸入品に頼った場合、いざ食料品が輸入されなくなってしまうと日本国民が生きていけなくなってしまう危険があります。
生産品の種類にもよりますが、普通に作られた国内の食料品は貿易に制限を設けない場合、非常に安い値段の輸入食料品と競争しなければなりません。TPPで話題になっていたお米や麦、牛豚などの肉、砂糖関連分野、乳製品はそのような分野ということなのでしょう。そうなると消費者の多数は安いほうを購入し国内産の食料品を購入せず、国内生産農家の収入は低下し農業を続けていくことが困難となります。そうなると日本の食料生産量は低下するばかりとなってしまい、いざ食料を輸入できなくなった場合大変なことになってしまいます。
そのためある程度日本国内で食料を生産することが出来るような体制を整えていなければなりません。その体制を整えるために貿易に制限を設けることは日本国民の安全を守ることにつながります。
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保護主義のデメリット
一方貿易に制限が設けられることでどのような問題が出てくるでしょうか。日本を例に考えた場合、よく話に出てきますが日本に輸入してお金を儲けたいと考える他国から批判されることになります。例えばアメリカやオーストラリア生産の牛肉に非常に高い関税をかけて日本の消費者が買いづらくなるようにしたとするならば、米国やオーストラリアの生産者の儲けが減ります。それはつまりアメリカやオーストラリアの儲けが減るということですから、アメリカやオーストラリアの政府が日本を批判する原因になり得ます。
また国内の消費者にとっても貿易が制限されることによって輸入された安い商品を購入する機会、チャンスを失ってしまうことになります。
他には高い関税をかけることによって国内の様々な物品の値段が上昇してしまうため、物価が上昇してしまい消費者を苦しめることとなるとか、貿易に制限を設けることで保護される産業分野の競争力が付きづらくなり結果的にはその産業を弱めてしまうという指摘もあるようです。
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今回は「保護主義」という言葉について調べてみました。法律の分野でも保護主義という用語があるようですが、今回の保護主義は貿易に関する話です。
「保護主義」を取りあげてみようと思った理由は以前行われた国際会議、G7サミットの各国が共同で出す声明の中に「保護主義と闘う」といった文言が盛り込まれていたからです。様々なメディアでこの表現がG7終了後たびたび出てきていたので印象に残りました。保護主義と闘うという表現を聞くと、保護主義って悪い考え方なんだ、という風に思ってしまう方向へ人々を誘導しているようにも感じますが、保護主義そのものが悪いことなのか個人的にはよくわからなかったのです。
第二次世界大戦前に世界大恐慌という大変な出来事があったと歴史で学んだ覚えがありますが、その時イギリスやフランスがやったことは「ブロック経済」と言われる高い関税を設定した国内産業の保護だったように記憶しています。これは保護主義に基づいた政策ですよね。
国内産業を守るということはそれに連なる自国の人たちを守るということですから、場合によっては(例えば経済がとんでもなく悪い状態とか、この産業が国内に無かったら国がやっていけないよという分野の場合とか)保護主義を選択せざるを得ないことって国の指導者ならあるのではないでしょうか。緊急時なのに適切な対応をとらず国民を守る手立てを打たない国の指導者だとしたら、おそらく国民から強い反発を受けて長い期間為政者の立場にはいられないようにも思います。
確かにいつも高い関税をかけて輸入品を締め出すようなことをした場合には他国との関係が悪化してしまい全体的に見れば国の利益を損なうのかもしれませんね。程々の保護主義、程々の自由貿易が良いということなのでしょうか。少なくとも保護主義そのものが悪という風にはこの話を調べていて感じませんでした。
ということでG7の「保護主義と闘う」というのは結構誇張した表現だなと思った次第です。現在そんな非常識な保護主義を実施している国なんてあるのでしょうか・・・。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
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