韓国で過去に行われた太陽政策とは?中断した理由についても

太陽政策とは

 

太陽政策(たいようせいさく)とはかつて大韓民国が朝鮮民主主義人民共和国に対して行っていた経済協力、経済支援を中心とした外交政策です。韓国で金大中(キムデジュン)さんが大統領となって(西暦1998年)から行われた政策です。この政策は金大中さんの次の大統領である盧武鉉(ノムヒョン)さんの政権になっても続けられました。

西暦2008年となり韓国が李明博(イミョンバク)政権となってこの政策を終了しています。

具体的には北朝鮮の観光地、金剛山の観光事業に韓国の財閥が関与できるようにして支援したり、韓国から北朝鮮へ米を提供するという形で食糧支援を行いました。(1995年以降北朝鮮では洪水、干ばつなどの災害や燃料、肥料の不足によって穀物生産量が著しく低下していました。)

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また北朝鮮の南部にある開城(ケソン)という都市に経済特別区を設けて韓国企業が設備投資と技術提供をおこなって、北朝鮮の国民を韓国の企業が雇用するという形で北朝鮮側は労働力を提供し生産活動を行うこととしました。(この事業で多くの北朝鮮の国民である労働者に対し韓国企業から支払われる賃金は北朝鮮にとって大変貴重な外貨の獲得源となりました。)

他には韓国と北朝鮮で分断されていた京義線という鉄道があるのですが、この鉄道を連結しようという事業も行われることとなりました。この鉄道を利用して開城で生産された製品を運ぶことが出来るようになりました。

経済支援とは異なりますが北朝鮮側にとっては取り上げられたくない案件、北朝鮮による韓国人の拉致疑惑を韓国が北朝鮮政府に対し追及しないとか北朝鮮と韓国で離ればなれになった家族が再会する機会を設けるといった融和的、友好的な対応がとられました。

 

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太陽政策が中断された理由は

 

北朝鮮が核実験を行ったということと韓国が保守的な政権に交代したというのが大きな理由と言えます。西暦2006年、まだ太陽政策が継続されていた頃、北朝鮮は核実験を行いました。この行為は多くの国から批判されました。

先ほども書きましたが、2008年に李明博さんが大統領に就任します。李明博さんは2007年の大統領選挙でハンナラ党という政党の大統領候補として立候補し当選しました。ハンナラ党は米国との関係を重視する保守的な議員が多い政党でした。李明博さんが大統領となってから北朝鮮に対する経済支援する場合の条件として核開発の放棄を挙げることとなります。

この韓国の対応の変化に対し北朝鮮は態度を硬化させ、核開発が放棄されることは無く、結果的には太陽政策という融和的な外交は中断されることとなりました。ただ即座にどの事業も中止されたわけではありません。開城経済特別区の事業はその後もしばらく継続はされていました。しかし2016年に北朝鮮が弾道ミサイル発射実験をおこなった事でこの事業も中止される結果となっています。

 

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今回は久しぶりに時事国際関連記事です。韓国で行われた「太陽政策」について取りあげてみました。この前韓国で大統領選挙が行われ、新しい大統領が決定しましたね。新しい大統領がかつて北朝鮮に対して融和的な姿勢をとった盧武鉉元大統領と非常に関係の深かった人物であり、親北朝鮮の立場と言われているそうなので、北朝鮮に優しい政策をとるとしたらどのようなことをするのだろうと思いかつて行われた太陽政策を調べてみようと思いました。

太陽政策の「太陽」はイソップ寓話の「太陽と北風」の「太陽」からきているのだそうです。太陽と北風がある旅人の衣服を脱がせることを競って無理に強い風を吹かして衣類を脱がせようとした北風に対し暑くして旅人が自分から望んで衣服を脱ぐように仕向けた太陽が勝つという話です。北朝鮮に厳しい態度ばかり取っていても問題が解決しないから、北朝鮮にとって利益になることを提供し北朝鮮が自ら改革開放路線をとるよう仕向けようという狙いで行われました。韓国が太陽のようになろうとしたわけです。

しかし北朝鮮に融和的な韓国の政権の目論見は外れ、核実験をしたり、長距離ミサイルを開発して発射実験をしたりと、北は「更に衣類を着込む」行動に出てしまい、韓国の有権者も北朝鮮の振る舞いに腹を立てていたようです。それが理由かはわかりませんが、2007年に保守派の候補を選ぶこととなりました。寓話の教訓は国際政治の舞台では生かされない場合もあるということですね。

今回選ばれた新しい大統領は度重なるミサイル発射実験をおこなう北朝鮮の手前、今のところ北朝鮮にとってあからさまな経済協力、経済支援の話を打ち出さず、核実験やミサイル発射に対しては厳しく臨むと主張しているようです。

ただ政治関係者は言っていることとやっていることが異なる場合もあるように思うので、実際にこれからどんな政策をとるのか気になるところではあります。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

韓国外交関連記事「不可逆的といわれた日韓合意の内容とアメリカの働きかけ」はこちらです。

大韓民国関連記事「韓国が日本海を東海と主張する問題とは?海外の反応は?」はこちらです。

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